先日行われたゼファーさん主催のタイマン大会で優勝したので、まあ優勝者の言うことなら多少変なことを言ってても説得力が生まれるのではないかと思い、タイマン攻略の記事を書いてみることにしました。
今後もウェザリングさんやヨシさんがタイマン対戦の企画を用意しているようなので、タイマンはよくわからんし怖いとか、ブックの組み方がわからないとか、そんな感じの理由でなかなかタイマン対戦には参加しにくいと思っている人が、タイマンを始めるキッカケにでもなれば幸いです。
超基本的なこと
4人対戦と比べると、タイマン対戦は非常に単純です。何しろ敵は一人だけなので、4人戦のように、心証を良くして見逃してもらおうとか、次の手番に仕事を押し付けようとか、これやったら説教されるんじゃないかとか、そんな政治的な立ち回りを考える必要は全くありません。やることは、単に目の前の対戦相手を叩きのめす、ただそれだけです。
具体的には、4人対戦だと自分の得にならない対戦相手への妨害の価値が、相対的に上がります。例えば対戦相手のクリーチャーを移動侵略で潰す行為の価値を単純に点数で表すと、4人対戦の場合、
自分:0 対戦相手A:-1 対戦相手B:0 対戦相手C:0
となって、相対的にBとCが得をすることになるわけですが、これがタイマンだと
自分:0 対戦相手:-1
となるわけです。非常に単純ですね。こんな感じで主だった対戦中の行動を点数で表すと、こうなります。
クリーチャーの配置 自分:+1 対戦相手:0
直踏み侵略で土地を奪う 自分:+1 対戦相手:-1
移動侵略で土地を奪う 自分:0 対戦相手:-1
スペルや秘術でクリーチャーを除去する 自分:0 対戦相手:-1
増資 自分:+1 対戦相手:0
アイテム削り侵略 自分:0 対戦相手:-1
もちろん実際にはここまで単純なわけではありませんが、対戦中に考えることは、中盤ぐらいまではこれで十分です。4人対戦のように、対戦相手に忖度して自分伸ばしを優先する必要は全くありません。経験則ですが、増資とアイテム削り侵略を天秤にかけた場合に、アイテム削り侵略が優先されることの方が多いのがタイマン対戦です。
さて、上記の数字を見てみるとわかると思いますが、タイマン対戦で最も自分の得になる行動は、「直踏み侵略で土地を奪う」ことです。なので個人的には、タイマン対戦の最もスタンダードなブックは、「直踏み侵略をいかに効率よく行うかを目指したブック」であると考えています。
ここで言う効率とは、具体的に言うと「手間をかけず、状況に関わらず、簡単に実現可能かどうか」を指します。例えば「シャイニングガイザーで高額地を焼いてバードメイデンで空き巣狙い」とかは、手間がかかる上に高額地でなくては割りに合わないため、効率は良くありません。(※) 逆に「ロックタイタンでレベル1を殴りに行く」のは大抵の状況で出来るので、効率は良いと言えるでしょう。
※決まったときの効果は大きいので、ブックに入れるべきではないと言っているわけではありません。ただ、それが決まらないと勝てないような構成は避けるべきでしょう。
直踏み侵略に特化したブックの例
「Nの助っ人」 カード比 30:3:17
「王牙」 カード比 28:9:13
ゼファーさん主催のタイマン大会で使用したブックです。マップはツインリング。個人的には、タイマン対戦の一番スタンダードなブックはこういうブックなのではないかと思っています。ブックの骨子を箇条書きにするとこんな感じ。
・クリーチャー数は25~30枚ぐらい
・無属性か多色
・マジカルリープは入れない
・地変スペルも入れない
・シャッターとポイズンマインド多め
以後、話をわかりやすくするために、このタイプのブックを他のカードゲームにならって、「ビートダウン」と呼ぶことにします。
なんでこんな構成なのか?
ビートダウンは、全て対戦相手の土地を効率よく侵略するために構成されています。
まずクリーチャー数ですが、4人対戦の感覚だと、このクリーチャー数はかなり多い方だと思います。しかし、侵略特化型のブックで4人対戦の感覚で20枚前後にしてしまうと、クリーチャーが足りなくなります。配置したらクリーチャーが手札からなくなってしまうようでは、相手の土地を殴りに行くことができません。さらに、手札に武器がなくても高額地を落とせるように援護+高STの構成なので、武器枠としての高STクリーチャーも、それなりの数が必要です。
そしてもう一つ重要なことは、事故らないようにすることです。4人対戦と違って、タイマン対戦のブック事故は負けに直結するので、事故のリスクは多めに見積もる必要があります。
無属性・多色である理由は、ティアマトやテュポーンの強打を避ける意味合いもありますが、一番の理由は、開幕時から相手の土地を奪いに行けるようにするためです。ダブルシンボルの重量クリーチャーが入っている単色ブックだと、序盤はどうしても侵略よりも自分の色の土地の確保を優先してしまいます。しかし、こういう構成であればそんなことは気にせずに、序盤から相手の色の土地に攻め入ることができます。運が良ければ、対戦相手にティアマトやシルバンダッチェスを出させることなく完封することが可能です。実際そういう勝ち方をしたことが何回もあります。
ビートダウンだと、マジカルリープや地変スペルを採用する理由は薄くなります。タイマンだと周回短縮の優先順位はそれほど高くないですし、連鎖は土地数が多くなれば勝手に出来るので。クリーチャーはどこにでも置くので、リープで狙った土地を確保しにいく必要性もあまりありません。狙った土地を落としたいなら、土地をたくさん確保しておけばチャリオットやスレイプニルで狙えるようになるので、そちらの方が効率は良いでしょう。
シャッターやポイズンマインドは単にアイテムを潰すために入れているだけですが、ポイズンマインドは終盤の詰めの段階で引いてくると非常に強いです。「あと5Rはシャイニングガイザーやバインドミストは絶対に来ない」とわかっていると、安心して上がりに行けます。
ビートダウンがタイマンのスタンダードであると考える理由
タイマン対戦においてもほとんどの人が単色ブックを使う中で、私は無属性か多色のビートダウンこそがスタンダードであると考えています。実際、特に使いたいブックが他にないときは、ほとんど「王牙」「Nの助っ人」のどちらかを使っています。なぜでしょうか?
タイマン対戦は、よく「ジャンケン要素が強い」と言われます。1対1の戦いなので、尖ったブックでも機能する反面、読みを外したり対策を取られたりしたときのリスクが大きく、ブック間の相性がモロに勝敗に出てしまう印象は確かにあります。そもそも単色ブックをチョイスした時点でティアマトかテュポーンのどちらかには強打されてしまうので、相性の差はどうしても出てしまいます。
その点、「王牙」「Nの助っ人」には、極端に相性の悪いブックはありません。あるのかもしれませんが、まだそういうブックと対戦したことはありません。無属性ブックは毎回使っているとエレメンタルラスやセイントを入れ出す人が出てくる可能性はありますが、普通に組んだ時に入れたくなるほど汎用性の高いカードではないので、調子に乗って使い続けるようなことをしなければ、そこまでリスクは高くならないと思います。
対策は自分でも考えてみたのですが、他のブックが相手でも使えるような、汎用性の高い対策をすることはけっこう難しいと思います。先日ゼファーさんに「王牙」を使ってもらって対戦したのですが、ポイズンマインドで覗いても何を潰したらいいのかわからないという状況が発生しました。ビートダウンには、カードゲームで言うところのマストカウンターがないのです。
要するに、対策をすることが難しいのでブックの相性差が出にくく、どんな相手でも対等以上に戦える可能性が高い点が、私がビートダウンをタイマン対戦のスタンダードと考えている理由です。
スタンダードではあるが最強ではない
ところが、ビートダウンにも欠点はあります。極端に相性の悪い相手がいない代わりに、極端に相性の良い相手もいないのです。ブックの相性差が出にくいということは、勝敗を分けるのは単純にブックの完成度の差です。したがって、ビートダウン以外のブックが相手でも、単純にブックの完成度で負けている場合は、普通に負けます。実際、ひろよしさん主催のタイマン大会では、「王牙」の前バージョンのオーガブックは、ヌーンさんのミスティワールド入り火ブックに負けています。一応、後日フリー対戦でヌーンさんの火ブックには辛勝してリベンジは果たしたのですが、10回対戦して勝ち越せるかどうかは、「やってみないとわからない」というレベルです。
したがって、ビートダウンは最強の戦略というわけではありません。ただ、ブックの相性差が出にくいので、ジャンケン要素を回避したい場合には、ビートダウンは最適な戦略と言えるでしょう。
次回は、ジャンケン要素が強いブックの紹介をしていく予定です。ジャンケン上等!
まも~ (2018年10月9日)
先日は対戦ありがとうございました!
あのブックに対して、そしてこれからどうしたもんかと思っていましたので
この記事は非常に参考になります!
yoshi (2018年10月9日)
ものすごく参考になります!
続きも楽しみにしております。
kikaikaboilers (2018年10月14日)
>まも~さん
返事が遅れましたが、先日はありがとうございました。
デコイ対策はちょっと弱いので、相手にしてて面倒くさい(褒め言葉)と思いましたw
>ヨシさん
ありがとうございます。予定より長くなって、全4回ぐらいになりそうです。