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とにかく早く特定のカードが欲しい!ドローにばかり時間をかけてられない!手札枠なんて常にカツカツだ!
と,わがまま極まりない要望は一部のコンボ系ブックの常です.こうした場合,特に前二つの要望を叶えたい場合,重要なのはいかに高速にドローを行うか,いかに多く引きたいカードをブックに搭載するかです.一度にたくさん引けるドロソなら高速にドローができ,尚且つブック枠を開けることができます.
本稿では一度にたくさん引けるドロソとしてリンカネーション(以下,リンカネ)を取り上げそれを用いたドロー戦略を考察します.
リンカネの持ち味
ドロソの性能は
①手札枚数増加
②使用可能カード総数増加
③有効カードの使用回数増加
④有効カードの入手高速化
といった観点がありますがリンカネはどうでしょう.
まず①ですが,これは0枚の増加です.アデプト経由のように例外はありますが,リンカネを使用することで手札枚数が変わることはありません.次に②ですがこれは1枚使用して手札枚数分捨てて1枚+手札枚数分ドローするのでその場の使用総数は増えません.
最後に③,④ですがこれはどちらも1~6枚分の恩恵があります.
ここで注目すべきなのはやはり③と④です.次点のギフトですら4枚分の効用が限界であることを考えると一度の使用で比較的コンスタントに6枚ブックから引けるというのは冒頭で話した要望を叶える効力が極めて高いことを示しています.
しかしこのメリットを享受できるのは①と②の恩恵を諦め,それまで手札にあったカードの保持も諦めるというデメリットを受容できるブックのみです.
リンカネとブック比率
ではリンカネのデメリットを受容しやすいブックとはどのような構成でしょう.最も分かりやすいのは理想的な手札のカード種比率とブック内のカード種比率が一致しているようなブックです.なぜならリンカネ後の手札は平均的にはブックのカード種比率と同じ比率で次の手札を作るためです.つまり,クリーチャー20アイテム10スペル20の構成の場合,リンカネで5枚ドローするとクリーチャー2アイテム1スペル2の手札(に近い構成)になりやすいということです.この時,キーカードがブック内に4枚あれば手札5枚中0.4枚はキーカードになります.カード保持が難しいというデメリットやそもそも早期にキーカードが欲しいからリンカネの考察をするという動機からしてもリンカネを核にしたドローをする場合はキーカードを極力多くいれるべきでしょう.通常ならば特定カードの大量投入はブック枠の圧迫になるものの大量のディスカードが発生する前提では例え汎用性の高いカードであっても捨てることになります.
リンカネによりブックから短時間で大量に引き出すことでいち早くキーカードを手に入れるドロー戦略は,同じくいち早くキーカードを手に入れるための大量投入戦略と親和性が極めて高いと言えます.
リンカネドロー戦略
最後に,(キーカードが大量に入ったブックでの)リンカネによるドロー戦略では他にどのようなドロソが好相性かを考えます.まずリンカネによる大量ドローのためには大量の手札を抱えていなくてはなりません.ブックも大量ドロー大量ディスカードを前提としていますし,とにかく大量にカードを引けるようなドロソは相性がいいと言えます(具体的にはギフト,フィロソフィーなど).また,先ほどブックのカード比率が理想的な手札のカード比率に近い方がよい,としましたが一般的には理想的な手札のカード比率は時間と共に変化します.クリーチャーは普通序盤に最も必要で,アイテムは普通終盤に最も欲しくなります.手札ならばドローとディスカードにより細かく比率を時間と共に変更できますがブックはそれが難しいです.しかし,プロフェシーやアイアンモンガーと言った種類サーチカードは時間と共に動的にブック比率を変えることができるため,リンカネ後の手札が理想的になる確率をあげる手段として有用であると言えます.
結論
・リンカネは特定カードの早期入手・大量行使に大きく寄与する
・大量に行使したいカードを大量に投入することはリンカネベースのドロー戦略では大きなロスにはなりにくい
・リンカネベースのドロー戦略では更なる大量ドロー,サーチが有用である