先日、ラストリボルトの予選突破16名を決める方法を変更しました。
【旧】勝利数順、勝利数が同じなら抽選
【新】勝利数順、勝利数が同じなら魔力点順
この「魔力点」は、次の計算式となります。
(本人の総魔力) + 8000 − (1位の総魔力) = 魔力点
勝利数が同じ場合、各試合ごとに計算した魔力点の合計が多いほど上位となります。
この記事では「こんな仕組みは何を意図しているのか」を説明します。
1位はエライ
まず最初にあるのが「1位は圧倒的にエライ」という考え方です。
カルドセプトの試合は全員が1位を目指すものだと、おれは思っています。1位になれたら嬉しくて、1位になれなければ悔しい。2位以下なら、3位でも4位でも悔しい気持ちに大差ない。おれはそう思っています。
なので、おれが開催する大会では、基本的にこの考え方に基づいて、1位になった回数が多い人ほど上位になるような大会形式にしています。たとえば予選を4試合やったとして
【Aさん】1位・4位・4位・4位
【Bさん】2位・2位・2位・2位
だった場合、Aさんのほうが上位になるような仕組みにします。一度も勝てなかったBさんより、一度でも勝ったAさんのほうがエライのだ、と考えるからです。Bさんの各試合がどれほど僅差の2位だったとしても、ギリギリのダイス差で惜しくも負けたのだとしても、勝ちきってない限りダメ。惜敗も惨敗も、負けは負け。そんな風に考えます。
2位以下の順位の差に価値はないのか?
2位以下の順位の差に価値がないとは思いません。ただ、「2位と3位の差」「3位と4位の差」は、「1位と2位の差」に比べたら圧倒的に小さいと考えています。
なので、もしゲーム終盤、他者が圧倒的1位になってしまった状況になってとして、次の2種類の手が浮かんだとします。
【A】少しでも1位の達成を遅れさせる手
【B】1位になることを諦め、2位を確保する手
ここで選んで欲しいのは、Aの手です。達成を1ラウンド遅れさせれば、その間に誰かが妨害スペルを引いてくるかもしれない。牛歩して目の前の高額領地に突っ込んで、まだまだゲームがもつれるかもしれない。たとえ可能性が少ないとしても、ゼロでない限り、そういう手を打ち続けるゲームをプレイしたいし、他の参加者にもそうプレイしてほしいと思います。2位が3位にアステロイドを撃つシーンなんか見たくないのです。
ただ、これはマナーやモラルの問題にしてはいけないと思います。大会なのですから、優勝するために最善の行動を選び続けるのが正しい。もし大会形式が「2位を確保することに意味があるルール」になっているなら、2位を確保する人を責めることはできません。
なので、そのような試合を増やしたかったら、大会形式を決める時点で2位確保の意味をなくさなければなりません。
抽選の意図と誤算
旧ルールで「勝利数が同じ場合は抽選」としていたのは、2位確保の意味をなくすという点で、最も尖ったルールでした。とにかく勝て、勝ち以外は何の意味もない。そういうルールです。
ですが、「16名を決める予選」においてこのルールが納得感を得られるのは「勝利数で13〜15名が予選突破し、残る1〜3名の枠を抽選で決める」という場合だと思います。これがもし「勝利数で7〜8名が予選突破し、残る8〜9名の枠を抽選で決める」なんて状況になってしまったら、大会としてかなり残念なことになると思います。
現時点で48名という参加人数で、そのプラスマイナス数名で開催した場合の、大会の状況をいろいろとシミュレートしてみました。その結果、残念な感じになる可能性が決して低くないという結論が得られました。
一度決めたルールを途中で変更するのは、できれば避けたい。ですがそれ以上に、大会自体が失敗することは防がなければならない。悩んだ末に、予選形式を変更することを決断しました。
ただそれでも、順位に意味をなくしたかったので、2位・3位・4位にポイント差をつけて、そのポイントで勝ち抜けを争う仕組みはやめたかった。なので、いにしえの代々木杯で採用していた「魔力点」システムを導入することにしました。
魔力点
魔力点の計算式をおさらいすると
(本人の総魔力) + 8000 − (1位の総魔力) = 魔力点
となります。
単純な総魔力の合計でないのは、総魔力合計のルールだと、遅延スペルを多用するブックと当たった場合に不利になるからです。
旧ルールでは、惜敗でも惨敗でも負けは負けで、勝利以外に意味はありませんでした。魔力点を採用する新ルールでは、惨敗より惜敗のほうがより優位となります。その点ではかなり違ってきてしまいますが、他のルールに比べればまだ自分の意図する大会に近く、そして参加者の皆さんからも納得が得られやすい形式なのかなと考えています。
他のルールとの違い
よくある大会ルールに「1位から4位まで順位に応じたポイントが入り、それと別に総魔力を合計し、ポイントが同じ場合は総魔力が多い人が上位」というものがあります。ですがラストリボルトでは、そうしたルールとは全く違います。
まず、順位によるポイントはありません。なので総魔力が同じなら、2位でも3位でも同じ価値です。このため「自分の順位を上げるために3位を攻撃する」という行動があまり価値を持ちません。
もちろん「3位の領地を奪い、自分の総魔力が上昇することで、予選上位になれる可能性が上がる」ということはあるでしょう。それは他の仕組みでも完全になくすのは難しいです。最初はそうした行動自体も無意味にしたかったので「勝利数が同じ場合は抽選」という尖った仕組みを採用していたのですが、難しそうなので諦めました。全ての問題を解決するのは難しいので、よりベターな道を探っていくしかないと考えています。
魔力点を採用した大会では、自分の総魔力を高める行動と、1位の総魔力を削る行動が、それぞれ価値を持ちます。そういう大会になって欲しいと思って、この形式を採用しました。
プレイのポイント
魔力点を意識した「予選突破率を上げるプレイ」を考えるなら、まず何より、1位の総魔力を少しでも削ることです。しかもこれは、1位の総魔力を削ることで得をする人が3人いるので、協調行動が発生しやすい。すると、自然に1位の達成が止まる可能性も上がる。もつれた試合になりやすく、混戦になりやすくなります。
ブックの組み方は普段と変わってくるでしょうか。この辺は考え方が人によって異なると思いますが、旧ルール (勝利数が同じなら抽選) よりは「任意の人を蹴落とすカード」の価値が若干落ち、代わりに「自分の総魔力を高めるカード」の価値が若干高まるのではないかと思います。それでも、単純な総魔力合計ルールや、順位ポイントルールに比べれば、旧ルールに近い感覚になるんじゃないでしょうか。
そしてもう1つ、大会が「オフライン対戦であり、会話可能である」という点も無視できません。せっかくのオフライン対戦なのだから、普段のオンライン対戦とは異なるプレイ感覚を楽しんでもらえればと思います。
それでは当日、ラストリボルトの会場でお会いしましょう!