カルドブログ

だれでも書ける みんなで作る カルドセプトのブログ★

トップページ » ヨシ » 踏みのメソッド ジャンクション実践編

踏みのメソッドの威力

 前回の日記「踏みのメソッド基礎編」では、通行料を得るという戦略について書きました。ジャンクションというマップでは、この踏みのメソッドは強力な武器となり得ます。今回は踏みのメソッドジャンクション実践編と題して、踏ませて勝つ戦略について考察していきます。

 なお、この記事は先日書いた「踏みのメソッド基礎編」を既に読んでいる前提で書かせて頂きますので、まだのかたはそちらからどうぞ。

ジャンクションで踏ませて勝つための戦術「動的踏み制御」

 ジャンクションで踏ませるために最も必要なことは動的踏み制御をし続けることです。

 前回の日記で「もともと踏みやすい土地」についてお話しました。周囲の環境に影響されず、一定の踏まれやすさがある土地です。ダムウッドの交差点土地などが代表例と言えるでしょう。もともと踏みやすい土地は、踏まれやすさが変動しにくく、また踏まれやすい土地が変わることもありません。こういう土地を管理することは、動きの無い踏み制御、すなわち静的踏み制御と表現できるでしょう。今までの踏むことに関する議論はこの静的踏み制御に終始していたと思います。

 では、それに対して動的踏み制御とは何か。もともと踏みやすい土地を抑える静的踏み制御だけではなく、環境によって踏みやすい土地が変化することにも気をつける戦略を指します。基礎編の「環境によって踏ませやすくなった土地」の項でも解説をしましたが、マップの土地はいつも同じ確率で踏まれる訳ではありません。その土地のレベル、周囲の土地の状況、裏の土地などによって踏まれやすさは刻一刻と変化します。その踏まれやすくなった領地を見極めて確保したり、逆に既にある自分の高額領地に踏まれやすさを呼び込んだりするための工夫こそが動的踏み制御です。

 高額領地ができる場所によって、セプターの歩き方は変わってきます。ジャンクションはその歩き方がはっきりわかるマップ、すなわち人の踏みやすい土地がわかりやすく制御しやすいマップであると言えます。

 ジャンクションにおいて人の歩き方が変化する一番わかりやすい例をあげてみましょう。それは交差点土地をレベルアップした場合です。

図1.交差点のレベルがあがったら

交差点土地が上がったら

 図1をご覧下さい。 前作のマップ作成ツールを使っているので、中心の複属性が無属性になってしまっていますがあしからず。ジャンクションは正方形を二つずらしてつなげたような形をしています。北に位置する城を含む正方形と、南に位置する砦を含む正方形。高額領地がない状態なら、皆自由に歩くでしょう。

 そこで、火領地の交差点である★だけのレベルが上がったらどうなるでしょうか。図1に示すように、セプターはなるべく★を踏まないようにするため、★を越えられるダイスが出たら赤矢印もしくは青矢印のように高額領地を先に通り抜けようとするはずです。逆から回ると、砦や城を通った後に★を踏んでしまう可能性がありますからね。

 端的に言えば「★が上がると北を反時計回り南を時計回りする人が増える」ということです。

 そうなるとどうなるか? 南に位置する砦を含む正方形に着目してみます。

 まず、★を越えて時計回りする人が増えるということは、火領地に止まる人が増えるということです。基礎編でのまとめ「高額領地のすぐ手前に止まると踏みにくくなる」を踏まえて考えると、火領地、特に砦から遠く★に近い火1~3番の部分は踏まれにくくなるのがわかります。たとえば火2番の領地は、ホーリーワードで★と一緒に飛び越えられてしまう可能性がありますし、火1番に相手セプターが止まったとしても、踏んでもらえる確率はわずか14%程度です。

 一方風領地は踏ませやすくなります。踏みの原則「高額領地の6歩前・7歩前に止まると踏みやすくなる」「交差点から遠い土地は踏ませやすい」の二つを思い出してみてください。時計回りに歩いてきて火領地に止まったセプターの6歩先、7歩先は風属性領地です。また、★という交差点から十分に遠いこともプラス要因です。

 これらの事から「★のレベルが上がったら火属性ではなく風属性を上げる」という動的踏み制御による戦術が成り立ちます。さらに慣れてくると「自分が風属性の領地をレベルアップしているのであれば、★の位置に過度な妨害はかけない」などの判断も自然に行えるようになってきます。 

 交差点のレベルが上がっただけで、これだけ考える事が増える。ジャンクションにおける動的踏み制御の奥深さと有用性の一端、伝わったでしょうか。

 では、このような踏み制御を行うために知っておくべきことは何か? 以下の2項目に分けてご紹介します。

静的踏み制御

  • 砦周りの土地について
  • 交差点土地について

動的踏み制御

  • 同心円理論
  • 裏の土地理論
  • 7歩先の土地を上げる
  • ケーススタディ

ジャンクションでの静的踏み制御

 マップの形状から踏ませやすい土地がどこかを把握して管理する静的踏み制御。自分が強い土地を抑えるのはもちろんですが、その土地のレベルを上げた時のこと、もしくは上げられた時のことを想定しておけば、動的踏み制御に利用することもできます。

 静的踏み制御の強みは簡単に効果が出るところです。それだけにたくさんのセプターに知られている概念で、おろそかにすると踏みに関して差をつけられてしまいます。しっかりおさえておきましょう。

砦周りの重要性

 ジャンクションでまず抑えるべき土地、それは砦周りの土地です。

図2.ジャンクション砦周りの優位性

図1 砦周りの重要性

 

 図2の★印のあたりは「交差点から遠い」「リコールでも回避しにくい」という2つの理由で強い土地であると言えます。また、赤い★印は右回りでも左周りでもホーリーワード6でのハメも狙えるので、ホーリーワード6が入っていたり、ホーリーラマが入っていたりするブックでは重視すると良いでしょう。

 ★領地は踏ませることに関しては最高の立地です。前述の動的踏み制御を行わなくても、十分に強さを発揮する土地であると言えます。たとえ水ブック、地ブックを使っていたとしても、積極的にクリーチャーを配置していくことが重要です。地形変化してレベルアップできれば御の字ですが、他のセプターにここのレベルを上げられなくするだけでも十分に効果があります。

 なお交差点から遠いという理由では城横の土地も踏ませやすいと言えそうですが、リコールで城に向かうセプターが多いことを考えると微妙なところです。城から進行方向が選べますし、城から距離が近いと前回の日記で述べた踏みの基礎知識「高額領地のすぐ手前に止まると踏みにくくなる」が影響して踏みの確率は下がってしまいます。

意外? 交差点土地の弱点

 交差点土地は強い、確かにそういう傾向がありますが、ジャンクションに限っては一概にそうとは限りません。

図3.ジャンクションの交差点の弱点

図2 JUNCTIONの交差点の弱点

 図3をご覧下さい。例えば、火領地の★だけが高額領地となった場合、セプターはどのように周回するでしょうか。ジャンクションの絶妙な形が原因で、この領地のみを避けるのはさほど難しくありません。図3に示したように、先に高額領地を越えてしまえば良いのです。逆に言えば、交差点のひとつだけがレベルアップされた場合は、この図3のように先に高額領地を越えて回避することを意識しなければならないですね。前述の通り、交差点のレベルが上がるとセプターの歩き方が変わるというこの特徴は、ジャンクションにおける動的踏み制御において重要です。

 決してジャンクションの交差点領地が踏みを期待する上で不利な訳ではありません。しかしジャンクションの交差点は単体では真価を発揮せず動的踏み制御を行う際に真価を発揮するということを覚えておくと良いでしょう。単に交差点だからという理由だけでレベルアップをすべきではありません。 

ジャンクションでの動的踏み制御 

 今現在踏みやすい土地はどこなのか、将来的に踏まれやすくなる場所はどこなのか。それらをコントロールしていく技術が動的踏み制御です。一般的には「同心円理論」「裏の土地理論」「7歩先の土地を上げる」の3つが主な方法です。ジャンクションの特徴として、前述した交差点レベルアップによる周回方向の変化も重要ですので、それらを総合的に判断するケーススタディも交えてお話しします。

同心円理論

 同心円理論はすでにある高額領地との兼ね合いが重要になってきます。高額領地がどこにできるかは試合展開によりますが、ここでは二つ例を挙げてみます。

交差点土地との同心円理論

 交差点土地がレベルアップされた場合、もしくは自分でレベルアップした場合はどうすれば良いでしょうか?

 図4.交差点土地との同心円理論

図3 交差点土地との同心円理論

 図4で言えば、水土地1がレベルアップされた場合は火属性Aを、火属性2がレベルアップされた場合は水属性Bを上げると同心円の完成です。

 この同心円の良いところはふたつあります。

 まず、ABはそれぞれ交差点土地よりも地価が安いところです。交差点土地も自分で抑えれば問題ありませんが、敵に抑えられてしまった場合には注意が必要です。「火属性Aを踏むのは嫌だからしょうがないけれど水属性1を踏もう」と考えられては困るわけです。そこで、地価の違いが生きてきます。交差点土地は地価120G、ABは100G。どちらも4連鎖レベル4だったとすると、交差点の通行料は1152G、ABの通行料は960Gとなります。どうです、ABの方が踏んで貰えそうじゃないですか? この例に限らず、同心円理論や裏の土地理論では自分の領地を踏んで貰える工夫、具体的には相手より安い通行料にしておくことが必要です。

 もう一つは、前述した「先に交差点の高額領地を越えて回避」したプレイヤーを狙い撃ちできることです。たとえば、水属性1が5連鎖レベル5(通行料3379G!)だったとします。コレは踏んだら一巻の終わりです。Zにいるプレイヤーが黒矢印方向に歩いているときにダイスで5を出したら、恐らく先に水属性1を越えて祠にとまるでしょう。もしも水属性1が高額領地でなかったらダイス5で火属性Aは飛び越えられてしまうでしょうが、赤矢印のように再度踏ませのチャンスが再びやってくるのです。交差点領地のレベルが上がると人の流れが変わります。南の正方形を反時計回りする人が増えることを見越したテクニックです。

同心円理論を応用したホーリーワードハメ

 アールさんの記事「ジャンクで水が強い理由」では城から2歩目の水土地の強さを論じていました。これも変則的ではありますが同心円理論を応用したものであると言えるでしょう。私のブックにはホーリーワード6がたくさん入っていましたが、ホーリーワード6でも似たような変則同心円理論を応用できます。

図5.ホーリーワード6を利用した変則同心円理論
図4 変則同心円 

 図5の★が高額領地になっていた場合、地土地から歩いて来たセプターはダイスによっては▲に止まることがあります。そこをホーリーワード6でハメることができます。

 ただし▲と★をどちらもレベル4以上にするような同心円をわざわざ狙うのはオススメできません。なぜならAで7を出したセプターが水土地の方向に歩いて行ってしまう可能性が高いからです。これでは、地領地や水領地の高額を踏む助けをしているようなものです。

裏の土地理論

 前回の日記で、すでにある高額領地からなるべく遠い土地のことを「裏の土地」と定義しました。高額領地が出来る場所はその試合ごとに異なりますので、裏の土地がどこなのかその都度判断しなければなりません。

 裏の土地は既に上がっている土地だけで決まるものではありません。将来的に上がるであろう土地(相手のブックの色の土地、レベルを上げやすい拠点用クリーチャーが配置されている土地など)の場所を「将来的な高額領地」とみなすことも動的踏み制御のためには必要です。

 相手が城の横に高額領地を作ったとしたら、その遠くである砦の土地が裏の土地となります。また、現在はレベルが上がっていなくとも、城の横に弱いクリーチャー、砦の横に強いクリーチャーを配置しているのであれば、砦横が将来の高額領地になることが予想されます。そうなれば、城の周りを将来の裏の土地とみなすことも出来るでしょう。

 なお、端的に「裏の土地はすでにある高額領地からなるべく遠い土地のことである」と定義しましたが、正確に言えば「すでにある高額領地から適切な距離が保たれており、移動スペルでまとめて越えるのが難しい土地。すでにある高額領地で移動スペルを使い切ったところで踏ませが狙える土地」と言ったところです。単純に距離だけで決まるものではない事にご注意下さい。

 裏の土地理論は、動的踏み制御の手段の中でもっとも複雑なものなので、文章だけでは理解しにくいかもしれません。ここではこれくらいに留めておいて、ケーススタディの項でじっくり解説を行います。

7歩先の土地を上げる

 最もシンプルな動的踏み制御の手段で、移動スペルを持っていない相手セプターが今から通る場所をレベルアップするという方法です。

 いくら踏み制御を行ったところで、相手に移動スペルを持たれていては回避されてしまいます。そこで、移動スペルを持っていない相手の通り道を狙ってレベルアップするのです。一番効率が良いのは最大ダイス目と同じ数離れたマスをレベルアップすることです。前回の日記にも記載しましたが、最大ダイス7のジャンクションで7歩先を踏む確率はなんと約32%になります。

 相手が踏む前に移動スペルをドローしてしまう場合ももちろんありますが、狙った相手が2ラウンド以内に移動スペルを引いてくる可能性なんてせいぜい4割程度です。踏ませられる確率も、極端に下がるようなことは無いでしょう。(※注)

 裏の土地も、同心円も考えることなく、ただただ上げるだけ。極端な言い方をすれば7歩先をレベル5にするだけで2割弱の可能性で勝利できるわけです。どんなに形勢が不利でも1発逆転できる威力を秘めたテクニックです。

※注 細かい計算について

 セプターズノートでジャンクションを想定したブックを見て、3月20日現在一番新しい10ブックの平均を取ると移動スペル(ホーリーワード8、ホーリーワード6、ヘイスト、フライ)は6.0枚、リコールは3.5枚、1枚ドロースペルは平均2.4枚、2枚以上引けるスペル(ホープ、ファインド)は平均0.5枚でした。(なおリコールは必ず回避に使える訳では無い部分を考慮)
 踏み回避に使えるスペルは平均で8枚、ドロースペルはバイタリティが3枚、ホープが1枚入っていると仮定します。この状態で2ターン後までに移動スペルを1枚以上引ける確率を求めてみました。2ターンで引けるカード枚数は平均で2.45枚でした。(ツールで10000回試行した平均)2ターンで移動スペルを引ける可能性は約39%となります。
 3ラウンド以上後に土地を踏む確率を無視し、2ラウンド以内に移動スペルを引いた場合は必ず回避されてしまうと仮定して計算をします。

 28.57%(2ラウンド以内に7歩先を踏む確率)×61%(2ラウンド以内に移動スペルを引かれない確率)=17.4%

ケーススタディ

 動的踏み制御の手段を3つご説明しましたが、それらをジャンクションで活用するにはどうすれば良いのか? ケーススタディ方式で、こういう場合はどこが踏みやすくなるのか、踏み制御の方法を解説します。

相手に地ブックが多い場合

図6.地ブックが多い場合の裏の土地

地ブックが多かったとき

 例えば、相手は地ブックが多かったとしましょう。図6をご覧下さい。

 まず、今現在地のレベルが上がっていなかったとしても、将来的にレベルが上がりそうな場所も意識しておく必要があります。特に地領地はリコールからのマジックブーストがしやすく、急激にレベルが上がることも多いので意識しておきましょう。

 地ブックが多ければもちろん地の領地のレベルが上がることが多くなるでしょう。★のあたりが高額領地になりやすいと言えます。さて、そうなるとどこが裏の土地となるでしょうか。

 まず、単純に地の領地から遠い砦周りの土地が裏の土地と言えるでしょう。地領地周辺で移動スペルを消耗する事を考えると、元々強い砦周りで使う移動スペルが不足してきます。典型的な裏の土地と言えるでしょう。

 次に、水領地のあたりが強くなります。城を含む正方形を反時計回りをする場合は、移動スペルなどを地領地を越えるために使いたいところです。移動スペル後を狙える位置にある水領地は踏みのチャンスがあると言えるでしょう。逆に時計回りをする場合にしても、地領地を越えるために温存したい移動スペルを、水領地を越えるためには使いにくいところです。

 また、リコールした後に足スペルが無いと、地領地側に歩いて行きにくくなります。ちょうど地の高額を踏むダイス目をだしてしまえば、水領地側に進まざるを得ません。そうなると、さらに水領地を踏ませやすくなるでしょう。ちょっと変則的ですが、これも裏の土地理論の応用と言えるかもしれません。

 これらの裏の土地理論は、★印の領地に高額土地が乱立すればするほど強固なものになっていきます。極端な話★印が全てレベル5領地であれば、★を越えるためには絶対に移動スペルを使わなければなず、他の領地を越えるために使うわけにはいかなくなってきます。裏の土地理論は他のセプターが元の高額領地を回避したいと思えば思うほど効果を増すのです。なので、裏の土地理論を用いた動的踏み制御を行う際には、★に過度の妨害をかけないことが重要です。例えば地ブックの敵セプターが★と砦横の二つをレベル4にしており、どちらかにクインテッセンスをかけて妨害できるとしたら、砦横に打ち込んだ方が良いでしょう。そうすることにより、他のセプターの★地帯を避けようとする心理を弱めず、効率的に裏の土地理論を活用することが出来ます。

 火ブックが多く自分も火ブックである場合

 火ブックが自分も含めて2人以上いた場合について考えてみます。

 裏の土地を見つける方法としては、地ブックが多かった場合と同様です。火領地から遠い城周りの土地(リコールの影響が強く踏みには向かないかもしれませんが一応裏の土地にあたります)と、火領地を回避するべくホーリーワードなどで下の正方形を時計回りしてきたセプターを狙える風領地のあたりが裏の土地であると言えるでしょう。

 しかし、裏の土地がわかったからといって「火ブックを使っていたとしても、裏の土地を狙って地変してレベルアップをしよう」ではちょっと非効率的です。都合良く裏の土地ばかりを確保できる訳ではありませんし、レベルアップに耐えうるクリーチャーを配置出来るとも限りません。そこで、より実戦的に裏の土地理論を用いて「自分がレベルアップしやすい火領地を裏の土地にすることはできないか?」という視点を持ってみましょう。

図7.火で被ったときの裏の土地理論の活用

 火被りの際の留意点

 では図7をご覧下さい。

 まず大切なのは、交差点である火1番をむやみに先上げしないこと。私の印象ではありますが、かなり多くのセプターが交差点の踏ませに関する優位性を高く評価していると思います(それが間違っているというわけではなく、広まっているという意味)。そのため、前述した「先に交差点の高額領地を越えて回避」というメソッドは広く定着していると感じます。

 例えば、城から反時計回りをしている敵セプターAが水4番に止まっており、ダイス7を出したとします。火領地を踏ませようと思ったら「先に交差点の高額領地を越えて回避」をされては困るわけです。交差点である火1番を先上げしていたら、おそらく敵セプターAは火1番を先に回避するために時計回りをして火4番に着地するでしょう。火1番を踏ませられる確率は0%になってしまう上、他の火領地を踏んでしまう確率もぐっと下がってしまいます(踏む確率は火1~3番は0%、火5番は約14%、火6番約16%になる)風ブックを使っている敵セプターBが風4番あたりをレベルアップしていたとしたら、セプターBの動的踏み制御に協力するようなものです。なので無闇に交差点の火1番や、交差点に近い火2番を上げはよろしく無い、ということです。とにかくマップの下の円を反時計回りしやすく、時計回りしにくい環境を作らなくてはいけません。

 他には、火で被った相手が火1~6番に配置したクリーチャーは可能な限り殴ることが重要です。ちなみに、もしも火で被った相手が交差点である水6番を地変していたら、そこはのびのびさせておいても良いでしょう。なぜ、火1~6番は殴って、水6番は放置するのでしょうか?

 答えは火で被った自分達の領地が裏の土地のもととなる高額領地とならないようにするためです。たとえば、火で被った自分と相手が火2~6番と高額領地を並べたとします。これでは、砦周りを越えるために移動スペルを保持されてしまい、踏みは期待できません。そればかりか、火2~6番以外の高額領地を回避するための移動スペルが不足してしまいます。そう、自分たちの高額領地が利用されて裏の土地を作られてしまう訳です。前回の日記で「すでにある高額領地の隣をレベルアップするのは踏ませの視点から言えば悪手である」と書きましたが、言い換えると「自分がレベルアップしたい場所の隣を相手にレベルアップさせてはいけない」とも言えます。

 ちなみに水6番を放置して良い理由は3つあります。まず自分の領地の隣では無いため裏の土地の元の高額領地となっても構わないこと。次に、火3番を確保していれば、水6番との同心円が取れること。最後に水6番を先に回避するためにマップの下の円を反時計回りしやすく、時計回りしにくい環境が整うので火属性が有利になることです。もしも自分が水6番を確保しているのであれば、自分で水6番をレベルアップして自ら火領地を裏の土地とするのも良い手だと思います。

踏み制御を実践するためのブック「タタラ」

 これらの踏み制御を実施するためにはどういうブックを使えば良いのでしょうか? まず、配置を精緻化し、狙うべき同心円や裏の土地を確実に抑えられなければいけません。踏ませても守れなければ意味が無いのでクリーチャーやアイテムの選別にも気を遣わなくてはなりません。

 マップがジャンクションだった2012年インターネットチャレンジ国王杯、私はこのときにレギュレーションやメタも含めて静的・動的踏み制御を突き詰めた結果「タタラ」というブックを作り上げました。

タタラ(by ヨシ)
コロッサス1ガセアスフォーム1アップヒーバル2
シェイドフォーク1グレムリンアムル1アンチエレメント1
デコイ1ニュートラクローク1インフルエンス1
ゴーレム2パワーブレスレット2クイックサンド1
コンジャラー1 スクイーズ1
サルファバルーン1 セフト1
シャラザード2 ドレインマジック1
ドラゴン2 フォーサイト2
バーンタイタン2 プロフェシー1
パイロマンサー2 ホーリーワード63
バルキリー1 ホーリーワード84
ピラーフレイム3 マジックブースト2
マナ1
リコール4
リフレクション1
クリーチャー19アイテム5スペル26

 動的踏み制御を行うためには、狙った土地を確実に確保する必要があります。普段より、定点停止できるメリットが大きいと考えホーリーワード8が4枚採用なのはもちろんですがホーリーワード63枚採用。狙った土地確保とホーリーワード6ハメに利用します。

 クリーチャー単体呪いスペルはアンチエレメントリフレクション。前者は上げられると困る領地に、後者は自分がレベルアップしたい裏の土地等を強化するため使用します。アンチエレメントは、高額領地を奪う必殺技というより、レベルアップさせる場所をコントロールするために使った印象があります。

 クイックサンドは諸刃の剣。威力は十分なのですが、ちゃんと盤面が見えている相手は今引き即撃ちくらいでしか踏んでくれません。砦横に高額領地を持っていると、リコールを持っていない相手が上の正方形をぐるぐる回って城横の高額領地を踏む……ということもありました。ある程度盤面が見えるであろう相手と戦う時には、ちょっと考えものかもしれません。

 ドロースペルはフォーサイトプロフェシー。フォーサイトはリコールを引くタイミングを計算できるのが強みです。リコールを引くことがわかっていれば、無理に交差点土地を先越えしなくても済むようになる場合も。

 マジックブーストは相変わらず強力ではありますが、固執しすぎないことが重要です。周回ボーナスを得てから城から遠い火領地をレベル上るまでは時間が空きがちなので、ドレインマジック警戒のためリコール後はマジックブーストを使わずに狙った土地を確実にレベルアップしても良いかもしれません。マジックブーストは、砦ボーナスを得られるタイミングで使用し、砦横をレベル4にするような使い方が多かった印象があります。枚数は再検討してもいいかも?

 クリーチャーは任意の土地をサッとレベルアップ出来るように、無属性クリーチャーなど守備力が弱いクリーチャーはなるべく控えめに。ただしイエティを殴り倒すためデコイコロッサスは1枚。また、前述の通り火被りになった場合には、被った火ブックを殴る必要性がある場合も多いため被り殺しのシェイドフォークを1枚。コンジャラーはジャンクションのような戦闘マップだと維持が難しいのですが、確実に狙った土地を確保するために1枚採用しました。

 他のクリーチャーは、パワーブレスレットを持ってさえいればとりあえずレベルを上げられるクリーチャー(もしくは援護)で構成しました。パワーブレスレッドは、どうしてもレベルが上げたい土地にいるクリーチャーの排除にも一役買っています。レベルアップに必要な魔力を捻出するためにピラーフレイムを3枚刺しましたが、このブックは任意の領地を抑えることに重きを置きますので、防御型との相性は悪いと言えます。何枚か移動できるクリーチャーに差し替えても良いかもしれません。

 このブックは国王杯での私を支える原動力となりました。このブックで都合70試合しましたが、1位44回、2位5回、3位5回、4位4回、AI化試合10回、フリーズしての切断2回。AIをカウントしないと勝率76%です。5位の成績をおさめ、全国大会に出場することができました。

 余談ですが、当時1位で対戦終了した後に「試合結果が送信されなかった可能性があります」と表示された試合が2試合ありました。それを切断扱いになっているのだと思い込んでしまっていたので続行してしまったのですが(実際はきちんと1位とカウントされていたことが後に判明)、なんと最高で11連勝してました。

まとめに代えて

 今回は大好きな「踏み制御」をまとめることができました。

 しかし、強力な踏み制御ですが万能というわけではありません。適応できるマップとできないマップは存在するようです。ジャンクションは理想的な形状だったのでスムーズに踏み制御を行えたのですが、チェーンにそのまま応用しようとして痛い目を見ました。形状が複雑過ぎて、人の流れが制御しきれない部分が原因ではないかと睨んでします。また、デュナンのようにシンプルすぎる形の場合も違うアプローチが必要になってきます。

 また、あるセプターには「『裏の土地』をつくったら、元の高額領地も『裏の土地』の裏の土地になってしまうのでは?」というご指摘を受けました。これは裏の土地理論が内包する弱点の一つで、裏の土地はたしかに元の高額領地を踏む確率を上げてしまうと思います。相手がどうであれ自分の土地を踏ませる確率は上がるので勝率の向上に寄与する理論ではありますが、それでも無視できない要素のひとつです。

 このあたりの検討は、今後の課題としていきたいと思います。

 

 長くなりましたが、みなさんのがっぽりカルドセプトライフの一助になれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事への反応

  • rr (2013年3月22日)

    良い記事

  • dovadova (2013年3月22日)

    良記事感謝です。

    応用すると踏まないメソッドも見えてきそうですね。
    記事を読んで足スペルの使用タイミングを見直してみようと思いました。

  • weathering (2013年3月22日)

    労作。圧巻の一言。

  • yoshiyoshi (2013年3月22日)

    >アールさん
     コレが日記ガチ勢の力よ……! カルコロの勝率では負けてるけど、ハートなら……!

    >dovaさん
     踏まないメソッドというのは、意外に思いつきませんでした。結局足は無限では無いので
    効率的に動的踏み制御されてしまうと踏んでしまうのですよね。自分のほうが相手よりも
    踏ませ易いように制御するという相対的踏まないメソッドとかは面白そうな視点です。

    >ウェザリングさん
     構想半年という映画みたいなスパンでまとめた考えなので、もっと褒めて下さい!

  • 森陽 (2013年3月22日)

    大変ためになりました!

    こうしてみると、ジャンクションって奥が深いマップですね~
    中盤は2位以下を突き放していても、
    終盤なぜか下位の高額地ばかり踏まれてしまい逆転負け……
    といった展開が何度かありました。

    よくよく思い返してみると、この記事に書かれていた通りの展開・配置になってました……!

    パワーカード/クリーチャーや、土地価値等に気を取られがちですが
    自分の土地を踏ませるためにできることって色々あるものですね。

    ヨシさんスゴイです!
    ヨシさんスゴイです!

  • ヨシ (2013年3月23日)

    森陽さん
    護符買って土地持ってる人は達成しそう、マジブと現金持ってる人も達成しそう。
    でも踏ませそうな人は、達成しそうに見えないんですよね。下位が逆転というより、
    踏ませやすさという見えないリソースを持ってるやつが最後に勝つ、というイメージ
    ですかね。すごいヨシさんはそう思います。

  • rr (2013年3月23日)

    図5は「分岐から5」のダイス目なら、どの色でも出来るね。4パターン

  • RhythmRhythm (2015年4月16日)

    素晴らしい記事に感銘を受けました。
    十二分に参考にさせて頂きます。

コメントを残す

登録ユーザーのかたはログインしてください [ログイン]

unknown

ユーザー情報

yoshi ヨシ
@yoshi_gmgn
4055-2758-8407

DS生まれのセプト部育ち。リボルト全国大会がある世界線を探し続けて幾星霜。

このユーザーの最新の記事

このユーザーのリンク集