前回の記事では、ピックの考え方について紹介しました。
今回は実際のドラフトをイメージしてもらうため、試しにピックの流れを見てもらいます。8人でプレイするドラフトを、初手から9回 (1周分) のピックと、第3ラウンドまでドラフトを行った後の最終結果を見てみましょう。
サンプルドラフト
最初に開封したパックは次の17枚でした。
- ワンダーウォール (S)
- クリーピングコイン (S)
- ドゥームデボラー (S)
- パイロクルス (R)
- テンタクルズ (S)
- ゼラチンウォール (S)
- コカトリス (S)
- ロックトロル (N)
- クラウドギズモ (S)
- サキュバスリング (N)
- ストームアーマー (R)
- スケールアーマー (N)
- アラーム (R)
- マジックボルト (N)
- ディスエレメント (S)
- ホーリーワード3 (N)
- レイオブパージ (R)
初手は特別優れたカードがない限り、できれば拠点を任せられる属性付きクリーチャーを取りたいものです。候補はゼラチンウォールとロックトロル。ここではロックトロルを選びます。
残りの16枚を左隣に回し、右隣から16枚のパックが回ってきました。
- オーガロード (S)
- ロックタイタン (R)
- デスサイズ (S)
- アングリーモブ (R)
- アプサラス (S)
- ヘルグラマイト (R)
- ブランチアーミー (S)
- ガーゴイル (R)
- ダンピール (S)
- スパークボール (N)
- マグマシールド (S)
- ゴールドハンマー (N)
- バインドミスト (S)
- エアーシフト (N)
- ソリッドワールド (R)
- ティラニー (R)
各パックに含まれるスペルの枚数は5枚か6枚。回ってきたパックはスペルが4枚なので、右隣は初手でスペルをピックした (=属性付きクリーチャーを取っていない) ことが分かります。
初手でロックトロルを取ったので地属性クリーチャーを取りたいところですが、ブランチアーミーは領地コスト持ちにも関わらずさほど強力とは言えず、ガーゴイルは強力ですがレア度Rなのでブックに1枚しか入れることができません。悩みどころですが、ここはロックトロルに持たせたいマグマシールドが強力なアイテムということでピックします。
残りの15枚を左隣に回し、右隣から15枚が回ってきました。
- リビングヘルム (S)
- フェニックス (N)
- バーンタイタン (S)
- ヒッポカンパス (S)
- キロネックス (S)
- コアトリクエ (S)
- レムレース (R)
- ターコイズアムル (R)
- ツインスパイク (S)
- ウォーロックディスク (R)
- インシネレート (S)
- ホーリーワード1 (N)
- マナ (N)
- オブリタレート (R)
- ホーリーバニッシュ (N)
各パックに含まれるクリーチャーの枚数は9枚か10枚、各属性は1枚か2枚。回ってきたパックには7枚しかないので、右隣とその更に右隣が、無・地・風のうちいずれかを1枚ずつピックしたことが分かります。
被っていない火と水が有力なので、キロネックスが有力、火ならば少し質が落ちますがフェニックスでしょうか。ただしここで、初手でゼラチンウォールをピックせず流していることを思い出します。ゼラチンウォールは有力カードのひとつなので、下家の左隣かその隣あたりが既にピックしている可能性が高いです。そこにキロネックスが流れていけば、下家が水で固める可能性が高くなります。
下家が水をやるということは、ドラフトの回りが逆転する第2ラウンドでは、自分に水以外のカードが流れてきやすくなります。ドラフトでは自分自身が強いカードを取ることも重要ですが、流れをコントロールすることも大切です。初手のロックトロル、2手目のマグマシールド (火・地が使うと無効化) という強力なカードを活かすために、火地ブックを志向するためにフェニックスをピックしてみます。
残りの14枚を左隣に回し、右隣から14枚が回ってきました。
- スチームギア (S)
- アモン (S)
- オールドウィロウ (R)
- バハムート (R)
- シーボンズ (R)
- ロックシェル (R)
- メイス (N)
- アングリーマスク (R)
- ムラサメ (R)
- リンカネーション (R)
- フロートシジル (R)
- ヘイスト (S)
- リミッション (S)
- ストームシフト (S)
クリーチャーが6枚。3枚がピックされ、無・地が1枚ずつとなり、風が1枚もありません。上家が風をやっている可能性はかなり高く、地をやってる可能性もあります。火は2枚あるので、上家に火はいないことが分かります。地より火を優先的にピックしていくことを考えたいです。
オールドウィロウは強力なクリーチャーですが、レア度Rでダブルシンボルなので、ここでピックするのは決めすぎです。第1ラウンド中盤以降にもっと火属性がたくさん時に残っていたらピックすれば良いと考え、選んだのはアモン。
残りの13枚を左隣に回し、右隣から13枚が回ってきました。
- スタチュー (N)
- ハイブワーカー (S)
- グラディエーター (N)
- モスタイタン (S)
- エアロダッチェス (R)
- シルバープロウ (S)
- ボーパルソード (R)
- エターナルメイル (R)
- マスファンタズム (N)
- ポイズンマインド (N)
- メタルフォーム (R)
- ウェイストワールド (S)
- マジカルリープ (R)
クリーチャーが5枚。火が2枚あり、水がゼロ、他が1枚ずつ。上家方向4人によるピック結果なので、水をやっている人が1〜2人おり、前のパックから風がいて、地もいる可能性が高い。火は人気がなさそうなので、火は今後も良いカードが多めに流れてくることが期待でき、火地ブックではなく火単に寄せていくのも有力そうです。
レア度Nで侵略力のあるグラディエーターは強力なカード。これをピックして残りを左隣に回し、右隣から12枚が回ってきました。
- ルナティックヘア (S)
- スケルトン (N)
- フレイムデューク (R)
- ルーンアデプト (R)
- カクタスウォール (S)
- ストームスピア (N)
- トパーズアムル (R)
- メイガスミラー (S)
- メタモルフォシス (S)
- ホーリーワード8 (S)
- ライフストリーム (N)
- ブラストトラップ (S)
12枚ということはピックされたのは5枚。スペルが4枚になってますが、最初の17枚にスペルが6枚あるのはアイテム2枚のパックの場合のみ。このパックはアイテムが3枚なのでスペルは初手5枚から1枚ピックされたことが確定し、残りはクリーチャーが4枚でピックされたことになります。
風がなく、無が2枚、他が1枚ずつ。上家の近いあたりに地が2人いたらカクタスウォールはピックされていると思うので、地は1人かもしれません。風は2人いる可能性が高いです。
ピックはフレイムデューク。11枚を回し、11枚を受け取りました。
- シェイプシフター (R)
- デッドウォーロード (S)
- シグルド (S)
- メガロドン (N)
- アクアリング (N)
- バインドウィップ (N)
- ロングソード (N)
- アステロイド (R)
- マジックシェルター (S)
- ドミナントグロース (R)
- フォーサイト (S)
地と風がありません。自分も含めて8人でドラフトを行っていて、ここまで6枚がピックされているということは、自分の左隣以外の全員がこのパックを見て、誰もシグルドをピックしなかったことになります。もしかすると8人の中で火を選んでいるのは自分だけで、独占できる状態になっているのかもしれません。
シグルドをピックし、10枚を回して10枚を受け取りました。
- ニル=バーナ (R)
- アーチケミック (R)
- デスリーチ (R)
- フロギストン (N)
- アンフィビアン (S)
- トンファ (S)
- フィアー (R)
- ハイパーアクティブ (S)
- ピュアリファイ (N)
- バウンティハント (S)
火が2枚。火を独占できる状況ですので、火地でなく火単で行けそうです。ほかにめぼしいアイテムやスペルもないので、強力なカードではありませんがブックの属性を寄せるためにフロギストンをピック。9枚を回して、初手のパックが再び回ってきました。
- ワンダーウォール (S)
- クリーピングコイン (S)
- パイロクルス (R)
- サキュバスリング (N)
- アラーム (R)
- マジックボルト (N)
- ディスエレメント (S)
- ホーリーワード3 (N)
- レイオブパージ (R)
1周の間に無くなったのは、自分で取ったロックトロルに加え、ドゥームデボラー、テンタクルズ、ゼラチンウォール、コカトリス、クラウドギズモ、ストームアーマー、スケールアーマー。
自分以外の7人は、火を1枚、水を2枚、地を1枚、風を1枚、アイテムを2枚取りました。火を独占していると思っていましたが、さほど強いとは言えないドゥームデボラーが無くなったのは良い情報とは言えません。
しかし残っているカードを考えるとドゥームデボラーより明確に強いと言えるカードも残っていませんので、自分が欲しい属性が既になかった誰かがピックせざるを得なかったという可能性もあります。どちらにしてもパイロクルスは火単といえどもまだ取りたいレベルではないので、ここではサキュバスリングをピックして先に進めます。
種明かし
ここで種明かし。全員の初手パックと、ここまでの結果を見てみましょう。
プレイヤーAのピック
- ロックトロル (N)
- マグマシールド (S)
- フェニックス (N)
- アモン (S)
- グラディエーター (N)
- フレイムデューク (R)
- シグルド (S)
- フロギストン (N)
- サキュバスリング (N)
この記事で追いかけていたAは、初手でロックトロルを手にしたものの、場の流れを見て火単志向に切り替えました。おかげで場にある火属性のカードをほとんど独占できています。まだ強力なブックが出来たとは言いがたい状況ですが、上家に風がおらず下家を水に誘導できたので、今後も火属性の独占が期待できます。
プレイヤーBのピック
- ダイヤアーマー (S)
- ゼラチンウォール (S)
- アプサラス (S)
- キロネックス (S)
- シーボンズ (R)
- ボーパルソード (R)
- ホーリーワード8 (S)
- フォーサイト (S)
- アンフィビアン (S)
初手こそ属性を決めかねたので、強力な防具であるダイヤアーマーをピックしましたが、その後は水属性の強力なクリーチャーを中心にピックできています。ただしレア度SとRばかりなので、まだまだクリーチャーを沢山ピックする必要があり、その分アイテムやスペルが遅れがちになりかねません。
プレイヤーCのピック
- スペクターローブ (N)
- ドラゴンゾンビ (N)
- コカトリス (S)
- ブランチアーミー (S)
- リビングヘルム (S)
- ロックシェル (R)
- モスタイタン (S)
- カクタスウォール (S)
- マジックシェルター (S)
初手は取りにくいクリーチャーばかりだったので、強力なスペクターローブを確保しました。2手目でモルモとドラゴンゾンビが流れてきたので悩みましたがドラゴンゾンビをピック。その後も地属性が流れてくるので順調に地単を志向しピックを続けています。
プレイヤーDのピック
- ウッドフォーク (N)
- ヨルムンガンド (R)
- モルモ (S)
- スケールアーマー (N)
- ガーゴイル (R)
- ターコイズアムル (R)
- アングリーマスク (R)
- エターナルメイル (R)
- メイガスミラー (S)
初手で強力なウッドフォークをピックでき、2手目はヨルムンガンドになってしまったものの地属性を重ね、3手目でモルモが取れたので地単を強く意識しました。ところが4手目以降が誤算で、なかなか地属性が流れて来ず、他の属性も決定的なカードが流れてこないため、アイテムを集めることにしました。上家に地がいると判断するのが遅かったかもしれません。
プレイヤーEのピック
- G・ノーチラス (N)
- ケルピー (S)
- ウォーターシフト (N)
- ストームシールド (S)
- テンタクルズ (S)
- ヘルグラマイト (R)
- ヒッポカンパス (S)
- バハムート (R)
- マジカルリープ (R)
初手でカルドラフト最強のクリーチャーであるG・ノーチラスが取れました。水単か、複属性にしても水を強めのブックにしたいので、2手目は強気にケルピーを選択。3手目でウォーターシフト、4手目でストームシールドが取れたのはラッキーで、上家の近いところに水や風がいないと判断できました。その後、強力とは言えないまでも水属性を中心にピックしています。
プレイヤーFのピック
- グリーンオーガ (N)
- シルバンダッチェス (R)
- シャイニングガイザー (R)
- ミゴール (S)
- アマゾン (N)
- ドゥームデボラー (S)
- ロックタイタン (R)
- ウォーロックディスク (R)
- ヘイスト (S)
ここまでは端的に言って失敗です。初手でレア度を優先してグリーンオーガを選んだにも関わらず、2手目では地味なモスタイタンではなく派手なシルバンダッチェスを選んでしまいました。3手目はカクタスウォールを選ぶべきでしたがシャイニングガイザーを取ってしまい、地単に寄せるチャンスを逃します。
その後は回ってくる中でマシなカードをピックしようともがきますが、ドラフトが進めば進むほど弱いカードばかりになりました。第1ラウンドで挽回するのは難しいので、第2ラウンド以降に希望を探すしかないでしょう。
プレイヤーGのピック
- リビングアーマー (S)
- ホーリーラマ (S)
- ワイバーン (N)
- ルフ (S)
- マーシャルモンク (S)
- グレムリン (S)
- クラウドギズモ (S)
- エアーシフト (N)
- ホーリーワード1 (N)
グリフォンとキロネックスが有力でしたが、不足しがちな防具としても使えるリビングアーマーを評価して初手ピック。2手目以降に回ってくる属性を取っていく受け身の様子見作戦です。結果として上家に風がおらず、風を中心にピックできた上、エアーシフトを8手目に取れるという幸運にも恵まれました。このまま風単で行く予定です。
プレイヤーHのピック
- インフルエンス (S)
- グリフォン (N)
- エルフアーチャー (S)
- リビングアムル (S)
- ライトニングドラゴン (R)
- ヨーウィ (N)
- ディジーズ (N)
- ストームアーマー (R)
- ダンピール (S)
初手にどんなブックでも使える強力なスペルであるインフルエンスをピックし、2手目でグリフォンが取れたので風志向に。しかし期待したほど風が回ってこないので、上家に風がいると判断しましたが、途中で路線変更も難しく、ここまでは風単を続けています。幸い、風でない有用カードをいくつも取れているので、第2ラウンド以降に複属性や色換えも狙えるかもしれません。
最終結果
ここまででもだいぶ長くなったので、サンプルドラフトの最終結果だけを載せてみます。
第1ラウンドに成功していたA、B、C、E、Gはそのまま単色を貫くことができました。DとHも第2ラウンドで自分の色を取れましたので単色に移行できました。
第1ラウンドの折り返し地点で失敗気味だったFは、その後仕方なくといった感じで取っていった火で、第2ラウンドから連続して巻き返すことに成功。近いプレイヤーがいずれも違う色の単色に走っていたため、火が多く回ってきたからです。
結果として8人のプレイヤーが火単2名、水単2名、地単2名、風単2名と綺麗に棲み分けできました。
今回はここまで。
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