20XX年、カルドセプトが一過性のブームの域を超えて普及し、国民的な文化となりつつある一方で、カルドセプト依存症をはじめとする負の一面も看過できない状況に陥っていた。
これに対し、国は「カルドセプトの健全な発展に関する法律」(いわゆる「カルドセプト対策法」「カル対法」)を制定し、各方面からの対策に乗り出した。
医療分野においては、同法の下、各都道府県において「カルド救命救急センター」の整備が進められていた―――。
―――某月某日、午前0時0分、勾玉県まがたま市消防局
オペレータ「119番消防です。火事ですか、カルドセプトですか。」
女性の声「カルドセプトです!」
オペレータ「住所はどこですか。」
女性の声「あ、大宮区×××です。」
オペレータ「誰がどうしましたか。」
女性の声「あの、夫が、ずっとブックを編集していて、呼びかけに応じなくなってしまって…。」
オペレータ「では救急車を向かわせます。いくつか質問にお答えいただけますか。」
女性の声「お願いします…!」
―――午前0時4分、同 中央消防署
救急隊員「出動要請。場所は大宮区×××。要請理由は急性カルドセプト中毒疑い、意識なし。セプター名は『セプタロー』、フレンドコードは―――。」
救急隊長「ただちに出動する。続けてセプタータグ情報を。」
救急隊員「パーソナルポイント27300、アリーナポイント31000…マナーマーク、雨です!」
救急隊長「重症の中毒症状でアリーナポイント3万超え、マナーマークも雨となると…これは救命センター案件かもしれんな。」
救急隊員「はい。搬送可能な救命センターを都内を含めて検索しておきます。」
―――午前0時28分、大宮ソフト記念病院(カルド救命救急センター指定)
看護師「患者さん、CICU(カルドセプト集中治療室)に到着しました!」
医師「セプタローさーん!聞こえますかー!?…意識なし。ブックチェックします。セプタローさん、ちょっとブック拝見しますねー…!!?」
看護師「先生?」
医師「全て焼きブック…これはただのカルドセプト中毒じゃない。ブック狭窄症を合併している!しかも連敗型と呼ばれるタイプだ。」
―――ブック狭窄症(ブックきょうさくしょう)とは、ブック構築の柔軟性が損なわれる疾患である。特に連敗型は、敗戦の度にブックを誤った方向へ調整してしまい、さらに勝利が遠のく悪循環に陥ることが特徴である。
医師「ご家族は?」
看護師「奥様が付き添われています。」
医師「承諾を得次第、オペを行います。手術室の準備を。それからオンコールのカルド医も呼んでください。」
―――午前0時45分、同病院 面談室
妻「ブックを…全て切除ですか?」
医師「はい。中毒症状はやがて治まりますが、ブック狭窄症を根治しないと、すぐに再発してしまいます。」
妻「でも焼きブックだからといって、いくらなんでも…。重力制御が効くと聞きましたが…?」
医師「確かに重力制御療法は様々な疾患に有効ですが、今のセプタローさんには効果が見込めません。また、焼きブックが悪いというわけではありませんが、セプタローさんの場合、焼きブックの勝ち筋をも見失っていると考えられます。ここは一度気持ちをリセットすべきです。」
妻「…わかりました。夫をよろしくお願いします。」
―――午前1時0分、オペ開始。そして数日後、同病院 一般病棟―――。
妻「はいお水。調子はどう?」
セプタロー「ありがとう。いい感じだよ。ゆうべは久しぶりにオン対戦で勝てたんだ。やっぱりイチからブックを組んだのが良かったみたい。」
妻「マナーマークも回復してきたみたいね。でもまだ本調子じゃないんだから、あまり夜ふかししちゃダメだよ。で、どんなブックなの?」
セプタロー「ガイザー主体で、防魔クリはティラニーで対策したんだ。」
妻「って、また焼きブックかーい!」
二人「あははははは…」
―――セプター特有のあらゆる疾患に対し、高度な医療を提供する「カルド救命救急センター」。今回もまた、ひとりのセプターの命が守られたのであった―――。
―――某月某日、午後10時55分、再び勾玉県まがたま市消防局
オペレータ「119番消防です。火事ですか、カルドセプトですか。」
男性の声「…オドントゥタイラヌス…オドントゥタイラヌス…」
オペレータ「!!―――緊急指令!伝染性オドント病疑いの通報あり!発信元の電話番号から場所を特定しています―――。」
おわり
次回予告!
20XX年、カルドセプトが一過性のブームの域を超えて普及し、国民的な文化となりつつある一方で、カルドセプト犯罪をはじめとする負の一面も看過できない状況に陥っていた。
これに対し、国は「カルドセプトの健全な発展に関する法律」(いわゆる「カルドセプト対策法」「カル対法」)を制定し、各方面からの対策に乗り出した。
巧妙化する対戦不正、激化するセプター暴力団の抗争に対し、警視庁生活安全部カルドセプト対策課、いわゆる「カルド警察」が立ち上がった―――。
次回、「カルド警察24時」をお送りします!(しません。)
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fira (2018年3月26日)
すごい着想ですね^^
これ読んで、温泉岩盤浴・カルド大宮 症候群というのも一瞬考えてしまいました。
cepwo (2018年3月26日)
>firaさん
ありがとうございます。
カルド大宮で岩盤浴、ホットヨガ?…ってむしろ健康法じゃないですかw