太陽の町 (大宮出版「人権セプト」収録)
ルペ成小学校3年 市松 純
わたしの住んでいる町では、「太陽かるせぷ」という遊びがはやっています。
「太陽かるせぷ」というのは、まこっさんというひげもじゃのおっちゃんが考えた遊びです。
カードの強さごとに点数をつけ、なるべく点数の少ないブックで勝つことをめざします。
昔この町は貧乏で、せいきのカードがなかなか買えなかったため、少ないカードでなんとか楽しく遊ぼうと工夫したそうです。
そのあとこの町は工場とかがたくさんできて少しゆうふくになり、わたしたちはカードを買うことができます。
それでも「太陽かるせぷ」は残り続けています。
まこっさんはいつもルペ成公園のたこ形滑り台の中であんぱんを食べているだけなのによくこんな遊びを考えついたなと思います。
すごいと思います。
ある日、わたしも「太陽かるせぷ」をやりたいと思い、家でブックをみてました。
でも、どうしても困ったことがあるのです。
わたしのブックは地えんごブックなのですがえんごアイテムになる高HPクリーチャーは皆点数が高いのです。
「マミーもあかん・・・ストーンウォールもあかん・・・」
わたしのブックはあっという間にダークエルフやデスゲイズのようなHP30クリーチャーでいっぱいになってしまいました。
がっかりしているわたしを見て、お父ちゃんが「純ちゃん、どないしたんや」と言いました。
わたしは「お父ちゃん、純もうあかんかもせえへん。太陽かるせぷ一生勝たれへんかもせえへん・・・」と言いました。
鼻の奥がつーんとして、なみだがこぼれるのをとめることができませんでした。
「そんな泣くなや純ちゃん。お父ちゃんがなんとかしたるさかいに。ほら、今日はもうおそいから寝え。」
そう言うとお父ちゃんはわたしをだきあげて、ふとんまでつれて行ってくれました。
次の日、目がさめるとまくらの横に何かが置かれているのに気付きました。
それは1枚のあるカードでした。わたしはそれを見たとたんハッとして、居間まで飛び出しました。
「お父ちゃん!これ・・・」
「おぉ、気付いたか純ちゃん」
お父ちゃんの目の下はクマでまっくろになっていました。
「確かにダークエルフやデスゲイズのHPは低い。でもSTはどうや。40、50・・・地クリーチャーにしては中々高いやろ。」
この前ルペ成公民館に来た落語家みたいにりゅうちょうにお父ちゃんが説明してくれます。
「そこでこのカード、シルバーアイドルや。やられる前にやってまう。せんせい+えんごでぼろもうけや!」
「お父ちゃん、ありがとう!」
「純ちゃん、お父ちゃんをなめたらあかんでえ。お父ちゃんは工場の人間や。いつも逆転の発想で勝負してきたんや!」
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それからわたしは太陽かるせぷで4連勝してコロッサスのしょうごうをもらえました。
楽しかったです。また頭でっかちの糞雑魚セプター共を蹴散らしたいです。
ナス沼(グーバ級) (2015年3月25日)
感動しました